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Welfare Support|福祉用具

No. 001-テクニカルエイドと生きる自信 <ユーザーの立場から>

エイドの必要性と役割

 ある日突然身体の機能を失った者にとって、どんな些細なことでも再び自分で出来るようになることは、即「生きる自信」につながる。たとえ機器の助けを借りてでも自分でできることにより、何事に対しても積極的に立ち向かうことができる。そのことが図2に示すように、障害者の社会参加を促進し、自ら求め、自ら障害に対し切り開こうとする力を与えると思う。そう考えたとき、テクニカルエイドは、必ずしも障害者の生活全般、一生を支え・フォローしなくても、むしろ社会復帰の導入部において、その心構えや気概を与える一過性のものであってもいいのではないだろうか。同時に、ITに対する社会の流れが加速する中にあって、国の進めるところの情報処理機器アクセシビリティの指針などの背景もあり、機能回復訓練や余暇、就労などの場面においてパソコンやインターネットというニューメディアとの出会い・活用という新たな局面が展開を始めている。これまで重度障害者の社会参加に対する支援は、物理的な障壁を解消することが優先課題とされてきた。今後は、こうした整備や取り組みと平行して、「重度障害者がいかにして社会の一員として自らの生活の中で目的を見出し、人間らしく暮らしていくか」ということが求められる。そうした状況を考えとき、テクニカルエイドの果たす役割は大きく、寄せる期待も自ずと大きく膨らむ(表)。

図2 表1

エイド使用上の問題点と課題

 受傷以来、多くのエイドに支えられいろいろな人の支援を受ける中で、障害を受容しきれないことから不安や不満も多くあったが、最近は、岐阜県の住宅改造や補助器具関連の検討の場や企業などとの福祉機器の共同開発の場に参画することが増え、色々なことにアンテナを張り、ものを直視し、場広い観点から考えることが出来るようになった。改めてテクニカルエイドと障害者の社会参加をとりまく環境を考えたとき、多くの問題点と課題があることに気づく。

1.家庭復帰をめざす中で
 (1)障害者の増加と、障害の重度化
  ・ 医療と社会制度の連携の必要性
  ・ 障害認定制度の見直し
 (2)医療技術・知識に対する情報等の不足
 (3)医療機関格差   
  ・ 他部門との連携の不足
  ・ 地域社会との結びつきの不足
 (4)医療制度の変更(入院期間の不足と退院後の行き場の不足)

2.社会参加をめざす中で
 (1)地域社会の理解と協力
 (2)医療−教育−福祉の連携の必要性
 (3)受け入れる社会の不足と必要性
 (4)地域間格差−窓口間格差−高齢者間格差
 (5)縦割り行政の壁
 (6)社会システムの見直しと改善
 (7)福祉機器開発分野参入の指導と育成
 (8)情報と伝達システムの不足など

 こうした問題点や課題を胸に、2000(平成12)年、岐阜県の「北欧視察」のメンバーの一員としてスウェーデンを訪問する機会に恵まれた。高齢者・障害児者の福祉施設や学校、リハビリテーションセンター・職業リハのための支援機関や企業、グループホームや障害者の在宅、福祉制度や運営システム、福祉機器の開発や供給、住宅改造など.、多くのことを学んだ。それらは驚きに近いものがあり、短期間では取り入れることの出来ない、堂々として容易に我々を寄せつけない重みと風格、難しささえ感ずるほどだった。しかし、テクニカルエイドとその開発においては、日本も決して遅れている訳ではなく、たとえばコミュニケーション分野における支援技術においては勝っているところも多くある。課題があるとすれば、テクニカルエイドの開発と普及・供給における公的支援システムの弱さと、社会における基本システムなどが変更されても、本当に当事者が必要とするものに対する研究開発が続けられる支援体制の不足や、必要としている人に的確な情報が早急に届くシステムの不足ではないだろうか。問題を少しでも早くなくすためにも、当事者である障害者自身が積極的にこの分野に参加し声を出していくと同時に、社会復帰に対する必要情報の最初の提供者となりうるOT・PTを始めとする専門職の人材の育成と確保、支援のための拠点の整備は、今一番望まれる課題の一つではないだろうか。

おわりに

 近年の、医療技術の進歩にはめざましいものがある。しかし、医療の高度化に伴う救命率の向上が、障害者の増加と重度化をもたらし、治療法が確立されないために、病院のベット上で呼吸器の力を借りて生活をしている重度の障害を抱える人のいることも見逃せない。そうした人達が、たとえわずかな時であっても、人としての誇りと存在感を感じ、生き生きと前向きに暮らすことが出来たら、どんなに素晴らしいことか・・・。それを医療の側面から可能に出来るのがテクニカルエイドであり、支援技術ではないだろうか。そんなテクニカルエイドと技術の進歩に、尽きることのない期待と夢を託すとともに、今回の企画が、そうした取り組みを加速する事を願ってやまない。

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